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読書感想:芸能人はなぜ干されるのか?

恩を忘れ、独立や移籍に走ったら、必ず報復し、そのタレントの仕事を

妨害しなければならない。造反したタレントを徹底的に干し上げ、

それを見せしめにすることで、所属タレントを牽制しなければならない。

これが「タレント管理」である。

 

 

目次とあらすじをザックリと。

 

 

プロローグ 北野誠事件

 

第1章 干された芸能人

 

鈴木亜美、セインカミュ水野美紀松方弘樹川村ゆきえ

真鍋かをり小林幸子野久保直樹水嶋ヒロ沢尻エリカ

 

各、芸能人の移籍独立騒動の経緯と顛末。

 

 

第2章 「芸能プロダクション」とは何か?

渡辺プロダクションの始まり、成長の経緯とバーター、

レコード大賞のデキレース疑惑について。

 

 

第3章 抵抗の歴史

戦前〜戦後の昭和の芸能史と、プロダクションと役者の関係、五社協定

 

 

第4章 「ナベプロ帝国」の落日

渡辺プロダクションの凋落に「スター誕生!」

 

 

第5章 ジャニー喜多川の少年所有欲求

ジャニーズのセクハラ、郷ひろみ田原俊彦、90年代SMAP解散危機。

 

 

第6章 「免許のないテレビ局」吉本興業

吉本興業の歴史、芸人の薄給に劇場経営のコスト。

 

 

第7章 バーニングプロダクションと暴力

ナベプロの衰退にバーニングプロダクションビーイング長門大幸襲撃事件、

芸能界と暴力団

 

 

第8章 韓国、ハリウッド、声優業界

日本のシステムと似ている韓国、労働組合の強いハリウッド、日本の声優業界。

 

 

第9章 芸能と差別

労働環境や報酬が改善されない根元に差別意識

ビートルズの武道館公演反対にも差別意識か。

 

 

 

300ページの文章が二段と分厚く、内容も濃い。

 

戦後の映画全盛時代に、引き抜き防止を目的とした五社協定が、

未だにシステムとして機能しているという。

 

引き抜きの応酬で疲弊するのを避けたいプロダクションの思惑が一致。

 

また、バーターと言われる、一人のスターを使う為に、

別の若手をセット販売する手法。

 

逆に、一人移籍、独立問題を抱えたタレントを使うと、

その事務所との関係が悪くなって、その事務所の他のタレントを

使えなくなるかもしれないという心配から、露出が減る。

 

タレントを売るのに先行投資したのだから、勝手は許されない。

というのもあるが、これは「タレントは商品である」という事が前提で、

これは人権侵害という主張。

 

 

どちらの言い分も解るのだが、悪徳プロダクションの報復の内容は、

相当にえげつない。

(ちょっと違うが、頭を鍋に突っ込まれたりとかも、氷山の一角なのだろう。)

 

最近だと、能年玲奈の独立騒動とかも、根本は同じだろう。

 

 

2014年に買い、今回読み直したが、全体を通して「キナ臭い業界」だな、

と改めて認識。

 

 

普通に生活していたら、絶対に知れない事を教えてくれた良書。

文章の根拠となる部分(取材?)がしっかりしている印象。

 

ただ、経営側の言い分もあるんだろうとも思う。

 

 

 

 

*2016年の増刷版には、能年玲奈SMAP関連の追記が為されているらしい。

 

芸能人はなぜ干されるのか?

芸能人はなぜ干されるのか?

  
増補新版 芸能人はなぜ干されるのか

増補新版 芸能人はなぜ干されるのか