マンガ感想:ペリリュー ─楽園のゲルニカ─
アニメ化決定。
本屋で偶然見かけて買った、2017年から追いかけていた作品が、
終わった事が感慨深い。
第二次世界大戦時のパラオ、ペリリュー島を舞台にした戦争漫画。
タイトルにゲルニカとあるが、都市が爆撃されるというテーマでは無い。
フィクションであるものの、エピソードは大戦時の色々なところから持ってきていて、
(南方の戦いの)大まかな状況が理解出来る作品。
史実がベースになっているので、最初の方の激しい戦闘シーンが多い巻と、
後半のクライマックスで盛り上がる巻の間に、若干テンションのムラがあるので、
そこで評価が分かれるかも。
11巻と、コンパクトに纏まっている事もあり、自分は楽しめた。
激しい戦闘描写や、損壊のシーンが多いが、親しみやすいキャラクター&絵柄の為、
読みやすい戦争漫画なんじゃないかと思う。
ネタバレ無しで内容に触れると。
サバイバル、遺体漁り、性について、敗戦の受け容れなど。
戦時下では正しく優秀だった指揮官や兵士が、状況が変わるとどうか。
補給も無く、降伏も自決も許されない戦争は悲惨。
主人公は、作者:武田一義の前作のキャラクター(自身の大病をテーマにした作品)を、そのまま持ってきている。
本人曰く、前作で親しんで貰えたキャラクターだから、
読者の導入部分として機能させる思惑という趣旨だが、
読者からすると、主人公の絵描き、漫画好きのパーソナリティ含め、
過酷な戦場にいても尚、絵が書きたいという衝動を持っているというのは、
もはや才能。
とはいえ、作者本人が戦場に立ってそう思っていた訳でも無く、
あくまで、そういうキャラクターの方が映えるという事なんだろうけど、
そこまで何かに熱中出来る物を見つけられた人は、幸せだろうなと思う。